大切なのは、その指導に子どもの「納得」があるか。
好かれなくてもいい。信頼は、「きらわれない」にあらわれる。
〈本書の概要〉
小学校高学年や中学生は、思春期にもさしかかり指導がむずかしいと言われ、特別な手だてが必要だと思われがちですが、実はそうではありません。ポイントは、生徒に「きらわれない」ことで、信頼をつかみとること。そのために、なにをすべきか、なにをしないでおくべきか。
本書は、思春期の子どもたちと信頼関係を築くためのアクションリストです。
〈本書からわかること〉
1.「きらわれない」でちょうどいい
・好かれようと思って接すると、それが子どもに伝わって、むしろ煙たがられる。
・子ども個々の悩みや困りが生活態度に表れやすく、学級経営がうまくいきづらい。
思春期の子どもたちを受け持つ中でよく聞く悩みです。
本書では、子どもたち個々のニーズをみさだめ、困難さが表に出ている子にもそうでない子にも、安心して過ごせる学級づくりや集団づくりを紹介します。
2.集団がすさむとき
過去や現在、学校や家庭で苦しい思いをしてきた子どもたちは、どうしても学校や学級のルールを守るのが難しくなる場合があります。そうした場合の合理的調整や配慮はいうまでもなく重要ですが、その一方で、やってはいけない指導もあります。
それは、そういう子のルール違反などを、ただ「いいよいいよ」と許してしまうことです。そのせいで怖い思いをするクラスメイトがいたり、普段なにも言わずに頑張っている子へのケアを怠ってしまったりすると、学級の「当たり前の秩序」が乱れ、誰にとっても安心できない場所になってしまいます。
3.「わかってくれる先生」になる極意
勘違いされがちですが、思春期の子どもたちは善悪の区別をよくわかっています。その善悪の基準に矛盾することを言ったり行ったりすれば、当然それで信頼を失うこともあり得ます。
子ども本人が「頑張りたい」と思っているときには応援する。「悪いことをした」と思っているときには必要な指導や支援をする。そして、そうでないときにまで無理に声掛けをしない。「わかってくれる先生」として信頼されるには、指導に子どもの「納得」があることが重要です。
4.一人ですべての役割をこなさなくていい
学校で子どもたちと過ごす中では、子どもにとって耳の痛いことを言わなければならない場面もあります。本書の第3章は「それでもきらわれる」と称して、学年や学校全体のチームで子どもを見守る術や、「きらわれた」としても大切にすべき子どもの心の成長や心理的安全性について触れています。
〈こんなときにおすすめ〉
・思春期の子どもたちへの指導や声かけになやんだとき
・自分一人で集団を指導することにむずかしさをかんじたとき
・担任発表で子どものリアクションが気になりすぎるとき