あの哀愁の町が帰ってきた!
1981 年から82 年にかけ情報センター出版局から全3巻で刊行された『哀愁の町に霧が降るのだ』は東京の下町、江戸川区西小岩の陽の差さない6畳1間のアパートで共同生活をする4人の若者、脚本学校に通う椎名誠、大学生の沢野ひとし、司法試験を目指す木村晋介、勤め人の高橋イサオ、のばかばかしくも哀しく、ひたむきな青春の姿を描いた長編として、若者たちの共感を呼び、作家・椎名誠の人気を決定づけた記念碑的作品となりました。
以来44 年、『哀愁の町』のメンバーが装いも新たに登場! 新設の荒くれ高校での沢野ひとしとの出会いから、同級生たちとの椿事の数々、瀕死の重傷を負った交通事故での入院、年上人妻との初体験、克美荘での共同生活、そして新生活への旅立ちまで、44 年後の目線で『霧が降るのだ』では書けなかったエピソードを中心に昭和の若者の日々を描き直したのが本『哀愁の町に何が降るというのだ。』です。2年前に亡くなった盟友・目黒考二との最後の電話で「書かなきゃダメだよ」と言われ、覚悟を決めて書いたという椎名誠版ウィタセクスアリスも本書の読みどころ。また椎名誠本人によるカットも多数収録しました。
吉本隆明に「自殺を禁じられた太宰治」と形容された椎名誠のおもしろかなしむずむの世界が令和に待望の復活。