建築が金融商品になり下がるとき、
そのデザインに何が起こるのか?
その「かたち」は、社会にどんな影響を及ぼすのか?
あらゆるものが金融商品と化するこの時代、
建築はその最たるかつ最大のものであるといえる。
建築が金融商品に「最適化」されるとき、
その形は極端にゆがめられてしまう。
その結果生まれた「氷山」、「ゾンビ」、「極細」建築とはいかなるものなのか。
建築家はそれを受け入れるのか、あるいは抵抗するのか。
そして実際につくられた建築の形態は、都市や社会の本質に何をもたらしているのか。
ザハ・ハディド、リチャード・ロジャースやP・V・アウレーリ(DOGMA)、
さらにはアルド・ロッシやアドルフ・ロースなどの作品を比較検証しながら金融化との建築家の距離感を分析し、
バーチャル空間の金融フィクション化(Fi-Fi)までをも射程に含める、新時代の建築評論。
「資本主義の欠点にどう対処するのかという問題について、建築は長らく取り組んできた。しかし、いかなる攻撃をも吸収する資本主義の強欲さはよく知られるところである。建築は今や金融であるため、優れた批判的思考力を持った建築家は、ある種の批判的な金融を実践する必要がある。これは建築家が銀行家になるべきだという意味ではなく、建築家が構造エンジニアと協業しているのと同じような方法で、これからは金融業者と協力することを検討してもいいのではないかということだ。……批判的かつ創造的な行為としての建築は、21世紀においてその目的を改めて主張するために、活動領域を拡大しなければならない。」(本書より)