2篇の大人と子供の物語。各翻訳には訳者の解説付き。彼女の親の反対を押し切って駆け落ちした主人公のぼく。だが生活費がつきてくると二人の関係がにわかにくずれ始めるグレアム・スウィフトの「トンネル」。借金を繰り返す夫に苦労しながらも家庭を守る母親が、突然届いたきれいな敷物の送り主に淡い期待を抱きつつ探し始めるエドナ・オブライエンの「敷物」。十数年ぶりにアメリカから日本の生家に帰った主人公だったが、父親とのわだかまりが消えるどころか改めて浮き上がってしまうカズオ・イシグロの「ある家族の夕餉」など珠玉の12篇。