ミステリの女王とも称されるアガサ・クリスティー.稀代のストーリーテラーとして,世界中で愛されている作家である.同時にクリスティーは,法科学の専門家ともいえる一面を,その物語から垣間見せてもいる.本書では,クリスティーを愛してやまない法医学者の著者が,ポアロやミス・マープルといった魅力的な登場人物を通して描かれる法科学指紋,微細証拠,弾道学,筆跡,血痕,毒物学などを紹介し,“法科学者”としてのクリスティーに焦点を当てる.現実の事件にも影響を与えるほどのリアリティで描かれるクリスティーの世界を,最新の法科学の知見から読み解き,クリスティーの愛読者はもちろん,すべてのミステリファン必読の一冊となった.