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商品説明
ロベール・カンパンやファン・エイク兄弟に始まる初期ネーデルラント派の名声は一五世紀当時からヨーロッパ中に広まっていた。その初期の、ヤン・ファン・エイク作品の「驚くべき技巧」やロヒール・ファン・デル・ウェイデンの《十字架降架》に表わされた「悲嘆と涙」の描写などが絶賛され、受容されていく。これら北方美術の進展を、個別の事例やテーマの検討を通して、作者や仲介者の動き、あるいは受容者や社会へと投げかけられる波紋を浮かびあがらせ、ネーデルラントを中心に織りなされた美術の国際交流──イタリア、スペイン、フランス、そして神聖ローマ帝国──の意義/宇宙を明らかにする。さらに、当時の画家たちがいかに頻繁にヨーロッパ内を移動し美術を伝播していったかという点についての具体的なイメージを明らかににし、ネーデルラントとイタリアという二大潮流の狭間で培われたフランス美術のアイデンティティや、神聖ローマ帝国において直接的・間接的に受容されたネーデルラント美術のモティーフと表現方法について明らかにする。これらの具体的な事例──ヒューホ・ファン・デル・フースの《ポルティナーリ祭壇画》からマティアス・グリューネヴァルトの《イーゼンハイム祭壇画》まで──を通して、地中海世界やパリ周辺、そして神聖ローマ帝国へと広がっていったネーデルラント美術の宇宙をつかむための手がかりを示すことができた。ネーデルラント美術がこのように広く伝播していくことができたのは、作品の一点一点が美術としての質の高さと魅力を具えていたからにほかならない。尽きることのない魅力を放つネーデルラント美術は、一六世紀後半以降も、ヨーロッパ各地でくりかえし受容され、変奏され、融合されていったのである。
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