古来から人類は,夜空を見上げ星をながめてきた.最新の機器や天文学の専門知識が存在しなかった頃でも,人々は観察された天体の動きの規則性を生活に取り込むことによって暦や方位観を発達させ,農業・漁業などの暮らしを発展させてきた.同時に人々は星の動きや形に生活や信仰を投影し,物語を紡ぎ,儀礼や信仰を発達させた.やがて大規模なモニュメントを建造し,その信仰や暦観を刻み込んだ.
本書は,地球上の地域を章ごとに分け,各地に言い伝えられている太陽や月,星々と重ねられた世界観・方位観,生活との結びつき,そして星の名称から星にまつわる神話やユニークな伝承・信仰を,専門家でなくてもわかりやすく解説し,天文と文化の豊かな世界に招待する.