障害者の雇用義務を負う企業の約半数が法定雇用率を達成している一方で、半数の企業は達成できていない、あるいは取り組んでいません。達成できている企業においてもその質を問われるフェーズに変わってきています。障害者の雇用はまだまだ企業にとって困難なことであるようです。
本書は、障害者の就労支援事業所の元経営者が、規模も業種も違う7社の企業に足を運んで取材をし、各社の取り組みから見えてくる障害者雇用のメリットや、成功のためにおさえておきたい“ツボ”を伝える一冊です。
本来、障害者の雇用は、仕方なくするものではなく、戦力を確保することを目指さなければなりません。本書には、模索中の企業の方にとってたくさんの“気づき”がはずです。他社の取り組みを知ることで自社の状況に活路を見出せるかもしれません。まだ取り組めていない企業の方には、はじめるインセンティブと“きっかけ”を発見していただけるはず。
一方で、なかなか企業で働くことのできない障害者は多くいます。そうした方々の働き方の選択肢の一つ、就労支援事業所の取り組みを企業の方に知っていただくのも有意義と考えます。タイプの違う2つの事業所の様子を紹介しましたので、参考になさってください。
「障害者は社会を映す鏡」といわれますが、障害者と共に働くことで、他者への配慮と気遣いを学んだ人たちが、プライベートの場においてもその寛容さを発揮できたなら、おのずと社会は変わっていかないだろうか。(本文より)障害者雇用の「神髄」を語ります。
(取材先企業と就労支援事業所)
川相商事「社内ジョブコーチとリーダー研修で障害者を戦力に」
高浪化学「B型事業所との関係を築き、地域のオピニオンリーダー的存在に」
吉川油脂「障害を持つ社員を「寮生活」で支える会社」
日本理化学工業「変わらないのは彼らと一緒にやっていくということ。知的障害者と共に進化する会社」
ワイズ・インフィニティ「経営理念は『愛ある経営』カリスマ女性社長の挑戦」
モンテカンポ「精神・発達障害者との相性で伸びる小規模IT企業」
リゾートトラスト「障害者が『いるのが普通』特例子会社を選ばなかった大手企業」
++++++++++
あみ「精神科医療への知見と特性にあった支援が評判の事業所」
陽だまり作業所「これからも仲間と一緒に生きていきたい」