本書では次期学習指導要領を見据え、これまでの体育科の課題を整理するとともに、ICT端末を使った最先端の授業、領域間の関連、地域・学校段階間の接続を重視した新時代の体育の学びを提言します。
◎体育科の「課題」を解決する!
■課題1:「学びに向かう力、人間性等」の指導と評価
学習指導要領において、ほとんどの教科とは違い、体育科運動領域は「学びに向かう力、人間性等」の指導の目標からその内容まで明確に示されています。このことから体育は、運動を通して、学びに向かおうとする態度や豊かな人間性等を育むことをより顕著に表した教科であると言えます。
最も留意すべきは、「運動の楽しさや喜びにつなげるため」にあるということです。「これらの態度を育成することでもっと運動が楽しくなる」「豊かなスポーツライフの基礎になる」という指導観が大切です。本書では3つの資質・能力の指導と評価について、新旧のスポーツ庁調査官や学習指導要領の作成協力者が丁寧に解説していきます。
■課題2:運動領域と保健領域との関連
運動領域と保健領域の関連を図る指導についてはこれまでも行われてきましたが、平成28年12月の中央教育審議会答申や小学校学習指導要領(平成29年告示)において、より一層の関連が図られるようになりました。
しかし、どの単元で関連を図るのか、どのような順番で指導を行うのかなど、現場では戸惑いの声を聞きます。大切なことは、保健の授業で学んだ内容を運動領域の授業で意識したり、運動領域で学んだ内容を保健の授業で振り返ることなどを通して、それぞれの内容に対する学びの質を高め、体育科としての学びを深めることです。本書では4つの事例を紹介し、多くの先生の悩みに答えていきます。
◎新時代の体育の学びを提言する!
■提言1:ICT端末を活用した新たな体育の学び
体育授業でICT端末を用いることで、子供たちには、自己認識能力、情報収集力、情報分析・統合力、課題選択力等が身に付き、今の自分(たち)のことを「分かる」ことが、これまでとは比較にならないほど充実してできるようになりました。
本書では運動領域・保健領域において「ICT端末を使うと効果的な場面と授業への活かし方のポイント」を解説するとともに、運動領域の低学年、中学年、高学年および保健領域の実践を紹介します。どこで活用するかという「中心活動」と、ICT端末を活用した「評価」の具体が見えてきます。
■提言2:次期改訂を見据えた新たな体育の学び
体育科教育を牽引する研究者・実践者たちは、多くの実践を行っています。本書でも①運動が苦手な子どもへの指導、②幼児期や中学校との連携を図った指導、③外部(研究者・学校医等)との連携を図った指導など、これからのミライを生きる子どもたちの学びを充実するための提言を行っています。また、現代的な課題である「心の教育」について、より一層の充実が求められる「インクルーシブ教育」との連携についても紹介します。