【目次】
1 不治の言語病患者 「チャンドス卿の手紙」 ホフマンスタール
2 倦厭の闇、一瞬の光源 『檸檬』 梶井基次郎
3 世界を造形するまなざし 『リルケ詩集』 リルケ
4 「リアル」ということ 『遠野物語』 柳田国男
5 漫画のなかの「詩性」 『赤色エレジー』 林静一
6 「無限」に触れる筆力 『伝奇集』 ボルヘス
7 「起承転転」の小説 「子之吉の舌」ほか 島尾敏雄
8 「幼年」という名の庭 『トムは真夜中の庭で』 ピアス
9 選ばれた「文体」と「生」 「青炎抄」ほか 内田百閒
10 小説──「過剰性」の言語 『泥棒日記』 ジュネ
11 いかに詩を「観る」か 『静物』 吉岡実
12 「少女」の発明 『少女コレクション序説』 澁澤龍?
13 「無実の日常」を生きる 『愛について語るときに我々の語ること』 カーヴァー
14 いざ、「枝路」の方へ 「蔵の中」 宇野浩二
15 詩の言葉で小説を 『肉桂色の店』 シュルツ
16 漢詩─視と聴の悦楽 『李賀詩選』 李賀
17 「独身者」の愛の機械 『モレルの発明』 ビオイ=カサーレス
18 「人外」──反地上の夢 『幻想博物館』 中井英夫
19「幼稚さ」への意志 『バカカイ』 ゴンブローヴィチ
20 存在の「外」を覗く 『闇のなかの黒い馬』 埴谷雄高
21 小説とは、「反」小説である 『幻想都市のトポロジー』 ロブ=グリエ
22 変節する複数の「僕」 『数』 ソレルス
23 「低級感覚」の復権 『ナージャとミエーレ』 山口椿
24 異界としての「家」 『赤い蛇』 日野日出志
25 架空の時・架空の自己 『失われた時を求めて』 プルースト
26 「食材」「調理」「吟味」 「春は馬車に乗って」ほか 横光利一
27 他者─意想の「外」の住人 『優雅な獲物』 ボウルズ
28 言葉の前に立ち尽くす 『ambarvalia』 西脇順三郎
29 芸術─個の魂のための倫理 『短かい金曜日』 シンガー
30 変態と震災 「瘋癲老人日記」 谷崎潤一郎
31 「私」という独居房 『私生児』 ルデュック
32 己を殺めることの悦楽 「憂国」ほか 三島由紀夫
33 むっちゃくちゃ文学事件 『メルラーナ街の怖るべき混乱』 ガッダ
34 内なる「外国語」との邂逅 「運命」 幸田露伴
35 小説──「かたり」の芸術 「納屋は燃える」ほか フォークナー