1980年に大学生だった彼女たちは、いま50代になった。─
日本社会の“黄昏”を予見した空前のベストセラーから33年。 “彼女たち”は今、何を思い、どう生きているのか? 「文藝」連載時から新聞、雑誌で話題騒然の長篇に、書き下ろしで部大な註が加わり、待望の刊行!
各氏絶賛!
クリスタル・ボールの中で旋回する、私的な、また社会的な記憶の欠片。その中から時間という主題が浮かび上がってくる。これはそういうほとんどプルースト的な小説なのだ。浅田彰
単なる後日談でも、アラフィフの群像劇でもない。 戦後日本の激変を流れる、 プルーストやジョイスにも似た小説内の時間感覚。クリスタルの紋章をペダントした平民という貴族たちによる異端社会小説、待望の続篇。菊地成孔
彼はぜんぜん懲りていない。激動の同時代を生きてきた同世代の富国裕民に贈る「“自伝的”風俗」小説。斎藤美奈子
ずっとずっと待っていた。小説家・田中康夫が戻って来るのを。いま、この時代こそ、緊急に、彼の小説を必要としているのだ。高橋源一郎
飲んで集って恋をして…クリスタル族に終わりなし。450円のTシャツ着て、125円のカップ麺を啜りながら、33歳、ため息。壇蜜
透明性、多面性、輝き、勇気、筆力、独創性。そしてなによりもその予言性。「微力だけど無力ではない」と言いつつ黄昏の光に向かって歩くラストシーン。これはまさに現代の黙示録である。なかにし礼
クリスタルの中の黄昏。その向こう側に新たな夜明けはあるのか。大人になった「なんクリたち」の愁いと成熟が光る。浜矩子
この33年間に何があっただろう。私は「『脱ダム』宣言」のあの美しい文章を思い出した。田中康夫は何者にも増して、たえず言葉を紡ぐ人であり続けたのだ。福岡伸一
33年の熟成期間を経て開くブーケが香る物語山田詠美
由利が生きる上で捨てざるを得ないことも、背負い込むことも、とても美しい。「もとクリ」よりずっと温かく、素敵な女性に変身! ボクは終わりまで彼女を見つめて、一気に読み切った。ロバート キャンベル