量子コンピュータの説明では量子力学について言及されることが少なくありません。そこではしばしば、「量子とは粒でもあり波でもある」「結果は観測するまで確定しない」など、面白くも不可解な説明がなされます。しかし、量子コンピュータもアルゴリズムにもとづいて処理を行っています。量子アルゴリズムという「計算ルール」を理解できれば、量子コンピュータの理解にも近づけるのではないでしょうか?
本書では、行列と確率を中心とした数学を用いて、量子アルゴリズムを解説します。量子コンピュータのハードやビジネス活用に関する話はしていません。また、量子力学にも触れません。そのかわり、高校数学の知識さえあれば、その延長で量子アルゴリズムを理解できるよう、たっぷり解説します。解説は本書に出てくる計算のルールからはじめるので、難しそうと感じるかたでも、ぜひ読んでみてください。また、Qiskitを用いた量子プログラミングの初歩にも触れます。量子プログラミングに興味があるプログラマのかたにも役立ちます。この本を片手に手と頭を動かしながら、量子コンピュータの「頭の中」をのぞいてみましょう。