『三河物語』は、徳川家康、秀忠、家光の三代にわたって仕えた旗本大久保彦左衛門忠教が著した、家訓の書ともいうべき性格をもつ軍記物語。三巻三冊。元和八(西暦一六二二)年に草稿が成立し、寛永三(一六二六)年頃まで補訂が続けられた。
家康の父広忠までの徳川家代々の事績、家康の半生、大坂夏の陣に終わる諸戦役を綴りながら、大久保一族歴代の、主家に対する忠勤を書きとめる。さらに巻尾には忠教の述懐と子孫への教訓が記され、そのなかで、三河以来の譜代家臣がいまや冷遇されていると不満を露わにする。本全集では『三河物語』を漫画化するにあたって、講談、映画などでよく知られる一心太助を忠教に絡ませるという方法を試みた。