大正三(一九一四)年に勃発し、四年三カ月後に終結した第一次世界大戦で、日本の経済は大きく発展した。しかし好景気はインフレを伴って労働争議も増え、全国で起こった米騒動で寺内内閣は倒壊。そしてデモクラシー思想の流れのもと、初めて爵位を持たない平民宰相・原敬による本格的政党内閣が誕生する。経済恐慌の中、華やかな都市文化、大衆文化の発達を背景に〈昭和〉が開幕。二五歳以上の男子による初の普通選挙も実施され、政党政治が展開されるも、擡頭する軍部の力を抑えきれず、民主主義は挫折の時代を迎える。満州事変、五・一五事件、国際連盟脱退、二・二六事件……日本の行く手に暗雲がひろがってゆく。
原案執筆・伊藤 隆
〈目次より〉
序 章 大いに亨りて以て正し天の道なり
第一章 大正政変と護憲運動
第二章 第一次世界大戦
第三章 大戦景気と民本主義
第四章 《平民宰相》と普通選挙
間 章 モボ・モガの時代
第五章 ゆらぐ政党政治
第六章 満州事変擡頭する軍部
第四章 五・一五から二・二六へ
解説 武田知己