「なぜもっと早くいらっしゃらない?」
廃墟に響いた幽霊の声
100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。
収録作
「女誡扇綺譚」
「鷹爪花」
「蝗の大旅行」
「旅びと」
「霧社」
「殖民地の旅」
「魔鳥」
「奇談」
「かの一夏の記」