相次ぐ大規模災害、緊張が高まる国際情勢、感染症やサイバー攻撃日本は今さまざまな脅威にさらされている。為政者が予期しない選択をする、あるいは偶発的な事故や大事件が起こったら、「分断」が生まれ、歴史は大きく変わるかもしれない。
「歴史のif=反実仮想」の歴史学は、欧米の学界では重要な研究として認知されてきた。日本では架空戦記や未来小説は親しまれてきたが、学術研究は端緒についたところで著者が開拓してきた。本書では「ありえたかもしれない過去」として、「軍国日本の継続可能性」「幻の本土決戦」「アメリカの日本分割統治案」などの日本開戦以降のターニングポイントに注目し、日本という国がまったく別の形になっていた可能性について検討を行う。また、「ソ連の脅威と北海道の分断」「東アジアの地政学リスク」「大震災」など、列島が分断される日本は、「ありうるかもしれない未来」としても描かれてきた。災害や脅威に対応するために、「反実仮想」の知見を積み上げることが今求められている。
最悪のシナリオを描いた小説やマンガに、危機克服のヒントを学ぶ。私たちはまだ本当の「分断」を知らない。