【太平洋戦争開戦80年企画】
「サヨナラ」も言えぬまま別れた若き兵士との一瞬の邂逅、防空壕で友と感想を語り合った吉屋信子の少女小説、東京大空襲の翌日に食べたヤケッパチの〈最後の昼餐〉……戦時にも疎開や空襲以外の日々の営みがあり、青春があった。
太平洋戦争開戦時20歳未満、妻でも母でもなく〈少女〉だった27人の女性たちが見つめた、戦時下の日常。すぐれた書き手による随筆を精選したオリジナル・アンソロジー。
〈目次〉
若い日の私●瀬戸内寂聴
美しい五月になって●石井好子
私を変えた戦時下の修学旅行/十五日正午、緊迫のNHK放送室●近藤富枝
「サヨナラ」がいえなかった●佐藤愛子
空襲・終戦・いさぎよく死のう●橋田壽賀子
海苔巻きと土佐日記●杉本苑子
続 牛乳●武田百合子
半年だけの恩師●河野多惠子
はたちが敗戦●茨木のり子
人間が懐しい●石牟礼道子
親へ詫びる●森崎和江
戦争/敗戦の夜●馬場あき子
「田辺写真館」焼失 母は強し●田辺聖子
めぐり来る八月●津村節子
葦の中の声●須賀敦子
被爆前後/一個●竹西寛子
にがく、酸い青春●新川和江
ごはん●向田邦子
か細い声●青木 玉
国旗/終戦の日●林 京子
よみがえる歌●澤地久枝
夏の太陽●大庭みな子
子供の愛国心●有吉佐和子
スルメ●黒柳徹子
サハリン時代●吉田知子
戦争の〈おかげ〉●中村メイコ
青い空、白い歯●佐野洋子