福徳秀介のデビュー小説にしてベストセラー
大学2年生の「僕」は、入学前に憧れていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送っていた。日傘をさしていつも人目を避け、青春を謳歌している学生グループを妬ましく思う、そんな日々。友人は一人。銭湯掃除のバイトと孤独な大学生活だけの毎日。
そんなある日、大教室で学生の輪を嫌うように席を立つ凜とした女子学生に出会う。その姿が心に焼き付いた「僕」は次第に深く強く彼女に惹かれていく。やっとの思いで近づき、初デートにも成功し、これからの楽しい日々を思い描いていたのだが・・・・・・。
ピュアで繊細な「僕」が初めて深く愛した彼女への想いは実るのか。そして、僕の人生の、その先は---。
著者自身の私小説を思わせるピュアな恋愛小説ながら、「生きる」ことそのものについても考えさせられる、心に刺さるホロ苦恋愛小説です。
文庫化にあたり、巻末には、映画出演の萩原利久さん、河合優実さんの特別対談を掲載。こちらも、見逃せません。
【編集担当からのおすすめ情報】
「初めて自分のすべてをさらけ出した」。2020年、この小説を書き終えたときのジャルジャル福徳秀介さんの言葉。
何度も何度も真摯に原稿に向き合い、改稿を重ね、4年の月日をかけて大切に向き合ってきた小説は、その後じわじわと口コミで魅力が伝わり、重版を重ねました。そして、この度、豪華キャストによる映画化が決定。映画化をきっかけに、待望の文庫化となりました。
今でも「ほんまに全部出し切った。良い小説!」と語る著者。「本当に本当に素敵な良い小説」と語る担当編集。その言い合いが続く最強の小説です。
映画出演の萩原利久さん、河合優実さんも絶賛していた独自の言葉センス。そしてこの小説の肝となる思いがほとばしる長台詞。クスッと笑えるユーモア。繊細なガラス細工のような主人公の心描写。はっとさせられるおばあちゃんの言葉の数々。
この小説にしかない魅力がいっぱいです。
どうぞ、なんの先入観ももたずに、まずはこの作品を読んでいただきたい。それが、担当編集からのお願いです。きっと、心に何かが刺さる作品です。