正月の京都。ユウリ・フォーダムの初夢は、どこか古めかしい時代の誰かが、ピンを買い損なうというものだ。使用人らしきその者は「主人が奥様に渡すためのものだった」と大いに嘆くのだった。
それからしばらくして、セント・ラファエロでは、図書館の本棚奥にあったラペルピンを見つけた生徒のひとりが、それをこっそりわがものとしてしまう。以来、夢の中に夜ごと美しい女性が現れるようになったその生徒は、やがて衰弱していく。
アシュレイの協力を得たユウリとシモンは、生徒が隠匿したラペルピンに夢魔が取り憑いている事実を突き止め、対策に乗り出すが……。
『古都妖異譚』でも活躍中のユウリ、シモン、アシュレイの、セント・ラファエロでの知られざるエピソードが、書き下ろし特別編として登場!