自らを童話の「ラプンツェル」になぞらえて「ラ・プッツン・エル」と呼ぶ少女・中学二年生の少女・高倉涼は『魔王』と呼ぶ父親と闘ったあと、両親、弟と離れ、マンション6階に引きこもってひとりで暮らしている。双眼鏡で外をながめるようになった涼は、ある日、マンションの前を通って通学する少年を見つけ、「ジャク」と名付けて、見守るようになったが……。
「むかしむかし、あるところに、たいへん狂暴なお姫さまがおりました。プッツンしてキレると手がつけられなくなるので『ラ・プッツン・エル』と呼ばれていました。……」
自らを童話の「ラプンツェル」になぞらえて「ラ・プッツン・エル」と呼ぶ中学一年生の少女・高倉涼は、『魔王』と呼ぶ父親と激しく戦ったあと、両親、弟と離れ、マンション6階の部屋から一歩も外に出ずに、ひとりで暮らしている。童話のように自らの境遇と思いを語る「ラ・プッツン・エル」が、暴れたのには理由があった。
双眼鏡を見つけ、外をながめるようになった涼は、ある日、マンションの前を通って通学する少年に目をとめ、ひそかに「ジャク」と名付けて、見守るようになった。少年は、涼と同じ中学二年生、世界が汚いものであふれていると感じ、学校へ行くのもつらい日々を送っていた。
あるできごとがきっかけとなり、少年は無人であるはずのマンション6階に、何者かが住んでいることをつきとめるが……。