万葉の魅力は、人麻呂・憶良・家持・額田王ら歌びとたちの、「人間」としての不変の魅力に由るものであろう。本書では、ほかならぬ「人間」への関心・共生感をもってその精神世界をさぐりあてていく。
〈目次〉
いまも生きる万葉びと──序にかえて
1
女性歌人──恋歌の作者たち
額田王のなぞ
笠女郎の恋
2
韜晦の歌聖──柿本人麻呂
梅原猛「柿本人麻呂」と虚実
御用歌人ではなかった柿本人麻呂
人麻呂終焉歌の周辺
3
天平の四歌人
憶良の生涯
再説「憶良渡来人論」
風土のない詩人
人間の悲しみ──山上憶良と法隆寺塑像
4
天武天皇
中皇命とは誰か
山部赤人
湯原皇
大伴家持(一)──勝宝二年の春
大伴家持(二)──勝宝五年の春
あとがき
初出一覧