
2025-03-21
本屋大賞とは?2025年ノミネート作品と歴代受賞作のおすすめポイントを一挙紹介!
本屋大賞は、全国の書店員が「最も売りたい本」を選ぶ文学賞です。2025年のノミネート作品が発表され、話題作が勢ぞろい。今年はどんな作品が書店員の心をつかんだのか?この記事では、本屋大賞の仕組みや選考の流れとともに、最新のノミネート作品や歴代の受賞作の魅力、おすすめポイントを一挙に紹介します。
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毎年話題となる「本屋大賞」とは?
本屋大賞は、全国の書店員が「自分がおすすめしたい」「読者に手に取ってもらいたい」と感じる作品に投票し、ランキングを決定する文学賞です。純粋に“読者目線”で選ばれるため、受賞後には売り上げがさらに上昇するなど大きな話題を集めています。ここでは、本屋大賞の概要や特徴を見ていきましょう。
本屋大賞の概要
本屋大賞は2004年にスタートした文学賞。
全国の書店員が「面白い」「売りたい」と思う作品に投票し、ランキングを決定します。純文学系の賞とは異なり、読者目線で「人に勧めたいかどうか」が選考基準になるため、多くのベストセラーを生み出してきました。
また、プロの選考委員による審査ではなく、書店員が実際の売り場で接客する中で「本当に人に勧めたい本」を選ぶ点が特徴的です。そのため、受賞作品の多くがベストセラーになり、映像化や翻訳などのメディア展開につながるケースも多く見られます。
「公的機関や文学界の権威よりも、現場の生の声が重視される」という点が、本屋大賞の最大の魅力です。受賞作の中には、一躍ベストセラーとなり、映像化などのメディアミックスに発展するものも少なくありません。
「書店員が選ぶ」という、唯一無二の特徴
本屋大賞の最大の特徴は、「書店員が売りたい本を選ぶ」という点です。小説のクオリティや文学性だけでなく、「より多くの人に読んでほしい」という想いが込められた投票が行われます。
書店員は、読者への接客を通じて得た反応をもとに推薦作品を決定。SNSや店頭フェア、POPなどを活用しながら、作品の魅力を広く発信しています。
過去の大賞作品とその影響
本屋大賞の受賞作品は、受賞後に一気に売り上げを伸ばし、社会現象となることも少なくありません。例えば『告白』(湊かなえ)や『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ)などは、本屋大賞を機に話題作となりました。
映像化や海外翻訳など、「本」の枠を超えて影響を与えるのも本屋大賞ならではの特徴です。
2025年本屋大賞ノミネート作品
2025年のノミネート作品は、文学ファンや書店員の間で大きな注目を集めています。今年の書店員たちは、どんな作品を「売りたい本」として選んだのでしょうか?
タイトル | 著者名 | 出版社 |
---|---|---|
早見和真 | 小学館 | |
阿部暁子 | 講談社 | |
山口未桜 | 東京創元社 | |
一穂ミチ | 小学館 | |
野崎まど | 講談社 | |
金子玲介 | 講談社 | |
恩田陸 | 筑摩書房 | |
朝井リョウ | 小学館 | |
宮島未奈 | 新潮社 | |
青山美智子 | PHP研究所 |
アルプス席の母(早見和真/小学館)
高校野球の名門校を舞台に、応援スタンドからひたむきに声援を送り続ける母親を描いた感動作。母親の視点で紡がれるストーリーと、親子の絆の繊細な描写が心に深く響くと、書店員の間で話題となりました。
注目ポイント
・高校野球の熱気と母の愛情がリアルに伝わる
・早見和真ならではの丁寧な人物描写
カフネ(阿部暁子/講談社)
「カフネ」とはポルトガル語で「愛する人の髪にそっと手を入れる」などの意味。大都会の喧噪の中で生きる若者たちの友情と恋愛を、やわらかく繊細なタッチで描くヒューマンドラマ。
注目ポイント
・日常の何気ない場面を鮮やかに切り取る筆致
・共感度の高いキャラクター描写
禁忌の子(山口未桜/東京創元社)
ファンタジー要素を加えつつ、人間の闇や差別をリアルに浮き彫りにする力作。生まれ持った「禁忌」の力をめぐる冒険譚であり、同時にアイデンティティの問題をえぐる社会派作品でもある。
注目ポイント
・読者を惹きつけるダークファンタジー
・深いテーマ性とエンタメ性の両立
恋とか愛とかやさしさなら(一穂ミチ/小学館)
カメラマンとして働く新夏は、恋人・啓久からプロポーズを受ける。しかしその翌日、彼が盗撮で逮捕。2人の関係は大きく変化していきます。作中では、許しと愛の狭間で揺れる新夏の心情が繊細に描かれます。加害者や被害者、その周囲の視点から、人間関係の複雑さや信頼の意味を問いかける1冊です。
注目ポイント
・恋は人の犯罪を知った女性の揺れる心情を描く
・信頼と人間関係の難しさを問いかける
小説(野崎まど/講談社)
タイトルが“そのまま”の意欲作。「小説とはなにか」を読み手に投げかけるメタフィクション仕立てで、物語が進むごとに読者自身が想像力を試されます。
注目ポイント
・斬新な構成で読む手が止まらない
・「物語」の本質に挑む、野崎まど流の挑戦
死んだ山田と教室(金子玲介/講談社)
クラスの人気者だった山田が事故で死んだ。悲嘆にくれるクラスに、ある日突然、「死んだ山田」が声だけとなって現れた。奇妙な存在を受け止めるクラスメイトたちの心理描写が秀逸で、「普通」とは何かを問いかける。
注目ポイント
・学園生活とホラー要素の絶妙なバランス
・死生観を意外な視点で捉えるストーリー
spring(恩田陸/筑摩書房)
タイトルのとおり「春」をテーマに、恩田陸らしい幻想的な世界観が魅力のバレエをテーマとした長編小説。あたたかな季節の始まりとともに、少し不思議な出来事が次々と主人公たちを包み込む。
注目ポイント
・恩田陸の繊細で美しい文章表現
・日常がファンタジーに変わる瞬間の描写
生殖記(朝井リョウ/小学館)
家族小説や青春小説で高い評価を得てきた朝井リョウが、新たに挑む、“生きることの根源”を描いた長編。人間関係や社会のあり方をかつて無い表現で問いかける話題作。
注目ポイント
・社会風刺が効いた巧みなストーリーテリング
・「生」の本質を多角的に掘り下げる
成瀬は信じた道をいく(宮島未奈/新潮社)
2024年の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の続編的作品。悩みながらも行動を起こし、前に進み続ける主人公・成瀬の姿に勇気をもらえる1冊として熱い支持を得ている。
注目ポイント
・前作を読んでいなくても楽しめるストーリー構成
・宮島未奈の筆致がさらに進化
人魚が逃げた(青山美智子/PHP研究所)
ある週末、「人魚が逃げた」という言葉がSNSで話題になります。銀座の街をさまよう「王子」と名乗る青年の不可解な発言に、人々の関心が集まります。その裏では、人生の転機を迎えた5人の男女が、それぞれの想いを抱えて銀座を訪れていました。彼らの運命が交差する中、「人魚」の正体と、それぞれの人生の新たな扉が開かれていきます。
注目ポイント
・人生の転機を迎えた5人の選択が運命を動かす
・幻想的な銀座の街を舞台に、「人魚が逃げた」の謎が物語を導いていく綿密なストーリー
本屋大賞の選考プロセスを解説。いつ発表?
「本屋大賞」を受賞した作品は知っていても、具体的にどのような選考プロセスを経て決まるのか、いつ発表されるのかを詳しく知る人は意外と少ないのではないでしょうか?
ここでは、毎年行われる本屋大賞の選考フローと発表時期を紹介します。「どんな本を読もう?」「面白い作品を探したい」と思っている方は、発表のタイミングに合わせて注目してみると、新たな1冊と出会えるかもしれません。
選考・投票の流れ
第一次投票(11月~12月) 全国の書店員が「売りたい本」として最大5作品を推薦し、得票数の多い上位10作品がノミネートされます。
最終投票(2月中旬) ノミネートされた10作品の中から、書店員が「最も推したい1作品」を選び、最終的に合計ポイントが最も高い作品が「本屋大賞」として決定されます。
書店員の役割と視点
書店員は日々多くの本を扱い、直接読者と接する立場にあります。そのため、「本当に読者が求める作品」をリアルな感覚で把握できるのが強みです。
書店員が選ぶ本屋大賞は、「今の本のトレンド」そのものと言えます。売り場での反応やSNSでの話題性も考慮しながら投票するため、選ばれた作品は実際の売上や読者人気にも直結することが多いです。
また、書店では本屋大賞ノミネート作品や受賞作の特設コーナーが設置されるほか、店頭POPやSNSなどでの発信も積極的に行われます。書店員の視点があるからこそ、作品に大きな後押しが生まれるのです。
大賞発表のタイミング
本屋大賞の結果発表は、例年4月上旬~中旬に行われます。
発表スケジュール(過去の例) | |
2024年 | 4月10日 |
2023年 | 4月12日 |
2022年 | 4月6日 |
ノミネート作品は、毎年1月中旬に発表。その後の2〜3カ月間は、特に話題を集めます。
そして、4月の大賞発表を迎えると、受賞作が一気に売れ行きを伸ばし、多くの読者の手に取られる流れとなります。
2025年の大賞発表も、過去のスケジュールの傾向から4月上旬であると推測できます。気になる作品があれば、ノミネートの段階からチェックしてみてください。
受賞作品一覧
受賞年 | 作品名 | 作者 |
---|---|---|
2024年 | 宮島未奈 | |
2023年 | 凪良ゆう | |
2022年 | 逢坂冬馬 | |
2021年 | 町田そのこ | |
2020年 | 凪良ゆう | |
2019年 | 瀬尾まいこ | |
2018年 | 辻村深月 | |
2017年 | 恩田陸 | |
2016年 | 宮下奈都 | |
2015年 | 上橋菜穂子 | |
2014年 | 和田竜 | |
2013年 | 百田尚樹 | |
2012年 | 三浦しをん | |
2011年 | 東川篤哉 | |
2010年 | 冲方丁 | |
2009年 | 湊かなえ | |
2008年 | 伊坂幸太郎 | |
2007年 | 佐藤多佳子 | |
2006年 | リリー・フランキー | |
2005年 | 恩田陸 | |
2004年 | 小川洋子 |
2024年:成瀬は天下を取りにいく / 宮島未奈
幼馴染の成瀬が、周囲の期待や社会の枠を超えて突き進む物語。勉強ができるだけでなく、自由な生き方が彼女の大きな魅力で、「このままでいいのか?」と迷う人へのエールになる作品です。
コミカルな会話とリアルな高校生の描写が秀逸で、すがすがしい読後感も魅力。作者の宮島未奈は第11回「静岡書店大賞」小説部門大賞、第39回「坪田譲治文学賞」、第21回「本屋大賞」などを獲得した、注目の作家。映像化も期待されています。
2023年:汝、星のごとく / 凪良ゆう
地方の小さな島で育った暁海と櫂の、切なくも力強い愛の物語です。幼い頃から惹かれ合う二人が、社会の壁や家族の問題に阻まれながらも、それぞれの人生を歩んでいきます。
本作は第168回直木賞候補にも選出され、文学界でも高い評価を得た、映像化も期待される作品。青春小説や人間ドラマが好きな人におすすめです。
2022年:同志少女よ、敵を撃て / 逢坂冬馬
第二次世界大戦下の旧ソ連を舞台に、女性狙撃兵として戦場に立つ少女を描いた歴史小説。母を殺された主人公・セラフィマが過酷な戦場で仲間とともに生き抜いていく姿が、緻密な戦闘描写とともに描かれています。
本作は第166回直木賞候補に選出され、第9回高校生直木賞も受賞。史実に基づいた重厚な物語で、戦争文学としても高く評価されています。作者の逢坂冬馬は、本作がデビュー作ながら異例のベストセラーとなり、一躍注目を集めました。
2021年:52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ
「誰にも届かない声を持つ者たちの物語」。52ヘルツの周波数で鳴く、仲間に届かない声のクジラになぞらえ、孤独を抱えた人々の交流を描いた物語。2023年に漫画化もされました。
人と人とのつながりの温かさに涙し、読み終えた後に優しい気持ちになれる作品です。
2020年:流浪の月 / 凪良ゆう
2023年の本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』でも注目を集めた、凪良ゆうによる著書。
誘拐された少女と、加害者とされた少年が社会の誤解に苦しみながら生きる物語。幼い頃に誘拐された更紗と、彼女を保護した大学生・文が共に過ごした日々が、世間の目によってねじ曲げられていきます。
本作は、2022年に広瀬すず、松坂桃李主演で映画化され、大きな話題に。人間ドラマや心理描写の巧みさが光る作品です。
2019年:そして、バトンは渡された / 瀬尾まいこ
2021年に映画化され、家族の形を考えさせる感動作として人気を集めた本作。
血のつながらない親たちに育てられた少女が、それぞれの「親」の愛を受けながら成長していく物語です。
決して普通とは言えない家庭環境の中でも、たくさんの愛情に包まれて生きる主人公の姿が温かく描かれた、心温まる小説を求めている人におすすめの作品です。
2018年:かがみの孤城 / 辻村深月
学校に居場所をなくした少女が、不思議な城に招かれるファンタジーミステリー。孤独な子どもたちが次第に心を開いていく過程が描かれ、誰もが共感できる感動作になっています。
2022年に劇場アニメ化され、細やかな心理描写が映像でも再現。ファンタジー要素と現実の問題をうまく融合させた物語で、幅広い世代におすすめです。
2017年:蜜蜂と遠雷 / 恩田陸
国際ピアノコンクールを舞台に、天才と呼ばれる若者たちが音楽でぶつかり合う物語。圧倒的な描写力で音の世界を活写し、まるで旋律が聴こえてくるような作品です。
本屋大賞と直木賞をW受賞した話題作。映画・漫画・舞台化もされ、音楽ファンからも高く評価されています。演奏シーンのリアルさと、才能がぶつかり合う熱量が圧巻。ピアノ経験者はもちろん、クラシックになじみがなくても楽しめる作品です。
2016年:羊と鋼の森 / 宮下奈都
ピアノ調律師を目指す青年が、音の世界に魅了され成長していく物語。
ピアノを弾くのではなく「調律する」ことに焦点を当てた新鮮な視点と、静かで美しい文章が特徴で、楽器や音楽に詳しくなくても、ピアノの音が変わる瞬間の感動が伝わってきます。
派手な展開はないものの、読後には心が落ち着き、世界の見え方が少し変わるような作品です。
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